経審と社会保険、実は深くつながっています——5月20日のCIIC勉強会で何が変わる?
「社会保険は総務の仕事でしょ」と思っていませんか。
実は経営事項審査(経審)のW点(社会保険加入状況)は、未加入が発覚した瞬間に大きなマイナスになります。
令和8年度の社会保険改正も控えているいま、建設会社の経営者こそ制度の中身を押さえておく必要があります。
一般財団法人建設業情報管理センター(CIIC)が、2026年5月20日に「CIICユーザー勉強会~社会保険労務士から学ぶ社会保険のイロハ~」を開催します。
社会保険の基礎から令和8年度改正の実務ポイントまでを扱う内容で、経審担当者はもちろん、総務・経理の方にも直接関係する話が詰まっています。
詳細はCIICの公式サイト(https://www.ciic.or.jp/keisin/)でご確認ください。
経審と社会保険、どう関係するのか
経審の審査項目には、W点(その他の審査項目)として「社会保険の加入状況」が含まれています。
健康保険・厚生年金・雇用保険のいずれかが未加入の場合、W点がマイナスになるだけでなく、建設業許可の更新すら危うくなるケースがあります。
国土交通省は2012年以降、社会保険未加入対策を段階的に強化してきた経緯があり、いまや「未加入なら許可なし」という方向性が明確になっています。
よくあるのは、下請けの一人親方への対応を曖昧にしたまま決算を迎えてしまうパターンです。
令和6年の法人税申告後に経審の申請に入ろうとしたとき、「この作業員は実態として雇用関係があるのでは?」と審査機関から指摘され、申請のやり直しが生じた会社を私もいくつか見てきました。
令和8年度の改正では、この実態判断に関するルールがさらに整理される見込みで、早めに自社の状況を棚卸ししておく価値があります。
令和8年度改正で何が変わる?
今回の勉強会のテーマのひとつが「令和8年度改正」です。
具体的には、短時間労働者(パートタイマー)への適用拡大が段階的に進んでいることが背景にあります。
従業員51人以上の事業所は2024年10月からすでに対象になっていますが、令和8年10月(2026年10月)からは従業員数の要件がさらに緩和され、より多くの事業所が適用対象になります。
建設業では季節工や短期雇用が多い業態のため、「うちは関係ない」と思っていた会社でも対象になる可能性があります。
もうひとつ押さえておきたいのが、社会保険料の算定基礎届の実務です。
毎年7月に提出する算定基礎届は、標準報酬月額を決める重要な手続きで、ここでミスをすると健康保険料・厚生年金保険料が1年間ずれたまま計算されます。
結果として経審の申請時に「実際の保険料負担と申告内容が合わない」という矛盾が出てきやすい。
勉強会ではこうした実務上の落とし穴についても解説される予定です。
CIICの勉強会、どんな人が参加している?
CIICは国土交通大臣登録の経営状況分析機関で、毎年多くの建設業者の経営状況分析申請を受け付けています。
そのCIICが主催する勉強会は、経審に関する最新の実務情報が集まりやすい場のひとつです。
過去の勉強会でも「労務費に関する基準」や「JCIPの操作」など、申請実務に直結するテーマが取り上げられてきました。
参加者は建設業者の経理・総務担当者が中心で、顧問の行政書士や社会保険労務士が同席するケースも少なくありません。
オンライン参加ができるかどうかも含め、申込方法の詳細はCIICの公式サイトで直接確認してください。
定員があることが多いので、参加を検討しているなら早めに動いたほうが無難です。
今すぐ確認しておきたい3点
勉強会の内容とも重なりますが、経審の申請前に最低限チェックしておきたいことを整理します。
- 全従業員(日雇い・短時間含む)の雇用形態と社会保険の加入状況が一致しているか
- 算定基礎届の内容と実際の給与台帳が矛盾していないか
- 一人親方として扱っている作業員に、実態として雇用関係が生じていないか
この3点がクリアになっていないまま経審の申請に入ると、審査機関とのやり取りで時間を取られます。
審査期間中に問題が発覚すると、入札参加資格の更新スケジュールにも影響が出ます。
「申請の2か月前には整理を終わらせる」という感覚で動いてほしいところです。
Q&A
Q1. 社会保険に未加入だと、経審の点数はどのくらい下がる?
経審のW点(その他の審査項目)では、健康保険・厚生年金・雇用保険それぞれの加入状況が確認されます。
1つでも未加入があれば、加点ではなくマイナスの評価になります。
P点への影響は算式上で0.2の係数がかかるため、W点の動きがダイレクトに総合評定値に響きます。
会社全体のP点が100点変わることも珍しくありません。
詳細な計算式は国土交通省の経審告示(令和5年国土交通省告示)で確認できます。
Q2. 令和8年10月からの短時間労働者適用拡大、うちは対象になる?
2026年10月以降、従業員数の適用要件が撤廃される方向で制度改正が進んでいます。
つまり、従業員数にかかわらず、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込みがある短時間労働者は適用対象になる可能性があります。
自社の雇用状況と照らし合わせて、顧問社労士に現状を整理してもらうことをおすすめします。
Q3. 勉強会はCIICのユーザーでないと参加できない?
「CIICユーザー勉強会」という名称ですが、参加資格の詳細はCIICの公式サイト(https://www.ciic.or.jp/keisin/)でご確認ください。
過去の勉強会では建設業者であれば広く参加を受け付けているケースがありました。
Q4. 経審の申請と社会保険の手続き、どちらを先に済ませればいい?
社会保険の加入状況は、経審の基準日(通常は決算日)時点での状態が審査されます。
決算日をまたいで未加入の状態が続いていると、その決算期は未加入として扱われます。
つまり、経審申請の直前に加入しても「決算日時点で未加入だった」という事実は変わりません。
決算期が始まる前に加入状況を整えておくのが正解です。
この記事は情報提供を目的としており、手続きの代行や法的助言を行うものではありません。
最新の情報は各行政機関の公式サイトでご確認ください。